『青春と変態』
前にも書いたことがある会田誠さんなんですけど、ファンなんです。
で、出会い方というか、僕は最初、変な知り方をしました。
会田誠さんの小説で、『青春と変態』という本がありまして。僕は会田誠が美術家ということもなにも知らずに、この小説から入ったんです。
この表紙よ。「考えない人」という作品です。好き。
大学一年生の時に、文学概論Ⅰみたいな授業で、好きな本で好きなテーマ決めて感想文書いてこいという適当な課題を適当にやっつけるために適当に大学生協の本屋にいって。(行く場所も適当)
その時の思考は、「テーマが一発でわかるタイトルがいいなあ」とか、「薄くて手頃なのがいいなあ」とか、
一言でまとめれば「めんどくさいなあ」に尽きるんですけど。
タイトルと本の薄さでなんとなく惹かれて、表紙で「あっ楽しそう」。
内容は、男子高校生が覗き趣味に目覚めて傾倒していく流れを、日記風に、それはそれは克明に仔細に描いたものなんですけれど。
並行して初恋の人の恋路の手伝いをしてしまったりとか、甘酸っぱくちゃんと青春してるんです。
ただ、変態要素が、本当の変態要素で。
覗きの手口や描写が細かすぎて。
僕はあとがきを読むまで小説ではなく、作者の自伝だと思い込んでました。ほんとに。そのくらい。
トイレを覗き込むときの床への感想とか。覗きみてるところの描写とか。もう。ばか。
そして変態性を持ってしまった人の悲壮感とそのどうしようもない興奮と。自分の正当化と自己嫌悪と。思考回路がぐるぐる巡っていきます。
恋心なのか下心なのか。『青春と変態』のタイトル通りで。
別世界を覗ける、いい本です。
ただ、描写が本当に緻密なので、具合悪くなります。
授業の単位は落としました。
レポート書ける訳ねえだろ!
書けばよかったなあとは思うんですけどね。
面白くなりそうだとは思ったんですけど。
変態性をテーマにしようとして、色々資料集めだしたら呆然としてしまいました。
そんな大学一年生。
そこから、美術の授業の発表で、会田誠さんを取り扱って、そのコースで卒業までお世話になりました。
ありがたやー